私の臨床の流れを下記の映像にまとめました。まずは下記の映像をご覧下さい。
痛み・動作・姿勢が大きく変化する私の臨床の「考え方」と「流れ」を大まかに理解できると思います。
この映像で示したように、組織学的および力学的な仮説検証を行っていくと、本当にほとんど患者の痛み・動作・姿勢が大きく変化します。
そのことについて、下記にもう少し詳しく説明していきましょう!
臨床は常に仮説検証作業の繰り返し
臨床家の治療の流れは、常に仮説検証作業の繰り返しです。この仮説と検証の作業の過程が臨床推論であるということができます。
下肢および体幹の機能障害を改善する際には、”組織学”を基盤とする推論と、”力学”を基盤とする推論が臨床推論の主軸となります。これを筆者は”組織学”的推論、”力学”的推論と呼んでいます。
下記に、実際の症例の仮説検証作業の具体例として、解説動画を作成しました。臨床現場における仮説検証作業をイメージするのにとても役に立つと思います。是非ご覧下さい。
“組織学”的推論とは
“組織学”的推論とは、障害の原因について障害部位の”組織学”的視点から仮説を立て、その検証を行っていく過程のことです。例えば膝関節の前面に疼痛がある場合、どの組織に損傷があるのか、どの組織に炎症があるのか、どの組織が硬いのか、どの条件を加えると痛いのか、などを評価し、障害の原因について仮説を立てます。そしてその原因を改善するにはどういったアプローチをすればよいかを考察し、検証作業を行っていく過程が”組織学”的推論です。”組織学”的推論に基づいて治療するためには、下肢各関節で疼痛、可動域、筋出力などの問題点が生じやすい部位とその原因を理解しておくことと、その病態を把握するための評価技術を修得することが重要となります。また、この問題点を解決するための検証作業として、どのような治療技術が必要なのかを理解することも重要となります。
“力学”的推論とは
“力学”的推論とは、障害の原因について障害部位に加わる”力学”的ストレスの視点から仮説を立て、その検証を行っていく過程ことです。例えば膝関節の前面に疼痛がある場合、膝関節にはどのような”力学”的ストレスが加わり、どの組織が伸ばされているのか、どの組織が圧迫されているのか、どの組織が捻られているのか、どの条件を加えると痛いのか、などを評価し、障害の原因について仮説を立てます。そしてその原因を改善するにはどういったアプローチをすればよいかを考察し、検証作業を行っていく過程が”力学”的推論です。”力学”的推論に基づいて治療するためには、下肢各関節に発生する関節モーメントや運動連鎖を理解しておくことと、その評価技術を修得することが重要となります。また、評価から考察した問題点を解決するための検証作業として、どのような治療技術が必要なのかを理解することも重要となります。
私の臨床の基本概念と流れ
以上を踏まえ日々の臨床において、体幹・股関節・膝関節・足関節において、”組織学”と”力学”の両面から仮説と検証の作業を繰り返すことで、本当の意味で「考える治療」を施行できると筆者は考えています。
特に私の臨床では、”力学”的推論を重要視しています。その理由は、適正な”力学”的な誘導を施すことで、ほとんどの症例の疼痛、過緊張、違和感、動きがその場で大きく改善するからです。筆者の実際の臨床の”力学”的な誘導の流れは下記です。
この上記4つの流れを適正に施行することができると、ほとんどの症例の疼痛、過緊張、違和感、非効率的動作がその場で大きく改善するのです。この変化を理解するために、下記の映像を見てください。
この身体誘導を基盤として、仮説に対する詳細な検証作業を行っていくことでさらに良好な改善を引き出すことができます。下記の映像は、私が理学療法を施行した症例の治療前と治療後の様子を示しています。是非ご覧下さい。
◆術後・外傷後の歩行の改善(2分9秒)
術後・外傷後の歩容は、その場で大きく変化することが分かります。決して難しい技術ではありません
◆外側偏位の改善(3分58秒)
外側偏位による障害は、臨床上非常に多く見受けます。このため、外側偏位を改善できると多くの症状を改善することができます。
◆麻痺性疾患の改善(3分34秒)
麻痺性疾患の歩容も私が提唱する「倒立振り子理論」の応用でここまで変化することが分かります。麻痺性疾患を多く見る療法士は必ず見てみてください。