鼡径部の痛みについて理解しよう! 腸腰筋の痛みの発生メカニズムを園部所長が解説します。


股関節疾患の患者で、最も痛みを訴える部位はどこだと思いますか?
私は「鼡径部の痛み」が最も多いと感じています。
鼡径部の痛みを引き起こす組織はいくつか在ります。
例えば、大腿直筋反回頭、腸腰筋、iliocapsularis muscleなどを挙げることができます。
今回はその中でも腸腰筋の痛みの発生メカニズムについて説明したいと思います。
この発生メカニズムがわかれば、鼡径部の痛みを訴える患者が来た時に「これは、腸腰筋の痛みかも」と予測することができますし、反対に「これは、腸腰筋の痛みではないかも」と予測することもできます。
このように、それぞれの組織の「痛みが生じる理由」がわかってくると、臨床がドンドン楽しくなってきますよ(^-^)

さて、腸腰筋だけでなく筋肉にストレスが加わる条件の1つに、「伸張」が挙げられます。
イラストのように腸腰筋は、腰椎から骨盤の前面を通って、大腿骨の小転子に付着し、骨盤を後傾することで「伸張」されます。
筋肉が伸張されることで痛みが誘発されやすいことを知っておくと、様々な場面で応用が効くようになります。是非、覚えておいてください。
そして、さらに!!重要なポイントをここで紹介します。それは…
「骨盤が後傾すると、腸腰筋は骨頭をテコに伸張される」ということです。

このイラストを見ると、より腸腰筋に加わるストレスがイメージ出来ますよね(^-^)
「なるほど!」と理解して臨床を行うのと、そうでないのとでは結果も違ってきます。

骨盤が後傾することで、腸腰筋は骨頭をテコに伸張されますが、骨盤が前方位の姿勢になることでも、腸腰筋は伸張されます。
骨盤の後傾と前方位の姿勢と言えば、スエ―バック姿勢が有名です。
その人の姿勢を「パッ」と見て、明らかなスエ―バック姿勢で鼡径部の痛みを訴えている場合は、「これは、腸腰筋の痛みかも」と予測して、腸腰筋の評価をしてみてください。

鼡径部の痛みを引き起こす組織はいくつか在りますが、今回のように骨盤後傾と前方位の姿勢が観察できたら、腸腰筋を予測して評価をしてみてください。
腸腰筋にアプローチすることで鼡径部の痛みが明らかに改善したら、次に歩行動作を観察しましょう。
歩行動作において腸腰筋にストレスが加わる時期に、「遊脚前期」が挙げられます(詳細は「入谷誠の理学療法」に記載されていますので、ここでは簡単に解説します)。
立脚終期の股関節伸展不足や、母趾への荷重不足が起こることで、遊脚前期に適正なタイミングと筋の張力で下肢を振り出すことが難しくなります。
その結果、下肢を持ち上げるように動作を行い、腸腰筋にストレスが加わりやすいのです。
このため、腸腰筋にアプローチすることで鼡径部の痛みが明らかに改善したら、歩行動作の「遊脚前期」が適正に行えるようアプローチをすることが大切と言えます。
アプローチのヒントとしては、立脚終期の股関節伸展や母趾への荷重を引き出すにはどうすれば良いかを考えてみてください。
このように姿勢や動作の特性と筋肉(軟部組織)の状態がリンクしてくると、臨床は楽しいことだらけですよ(^-^)
今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました。
追伸
先週の七夕は、麻衣子さんの発案で、過去の「七夕の短冊」を読み上げました。
麻衣子さんは、過去の「七夕の短冊」を全て保管していたようで、
子供たちの過去の願いを振り返って・・・
家族全員で大笑いしました。(^_^)

嬉しかったのは・・・、
麻衣子さんの願いには、毎年、「俊晴のしごとが順調に進みますように・・・」とのことばが、必ず入っていたことです。
家族の願いが込められて、働けているな、と感謝の気持ちが湧きました。
改めて、頑張らなくちゃと感じました。
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【小林弘幸先生】頚肩腕症候群を科学する〜局所も診て、つながりも診る評価と治療戦略〜(LIVEセミナー/ZOOM)
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本セミナーでは、以下の観点から実践的に整理します:
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「いわゆる坐骨神経痛」といえば、梨状筋よりも末梢の病態—そう考える人が多いのではないで
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概要
臨床に多い腰痛
― 現場で出会う“ありふれた腰痛”を、構造と機能から本質的に読み解く ―
「よくある腰痛」だからこそ、難しい。
臨床で最も多く出会う症状 ― 腰痛。
それは“誰でも扱うテーマ”でありながら、
なぜ痛みが取れないのか、再発するのか、改善が続かないのか
多くのセラピストが悩み続ける分野でもあります。
赤羽根先生は、そんな「臨床に多い腰痛」を
筋・関節・神経・呼吸・姿勢制御の全ての視点から再構築。
「結局、何をどう診て、どこを治すのか?」を
実践的・構造的に整理してくれる180分です。
💡 このセミナーで学べること
✅ 1. “臨床に多い腰痛”をタイプ別に整理する
- 椎間関節性/椎間板性/筋・筋膜性など、よく出会う腰痛の臨床像を比較
- 疼痛の発生源をどう推定するか、臨床で使える判断基準を提示
- 「画像ではわからない腰痛」の特徴を理解する
✅ 2. 多裂筋・胸腰筋膜・横隔膜の働きを読み解く
- 多裂筋が“働いていない”腰痛の見抜き方
- 胸腰筋膜・体幹深層筋・横隔膜の連携が崩れるメカニズム
- 呼吸・安定性・姿勢制御を組み合わせた運動療法戦略
✅ 3. 動作と安定性から考える腰痛のアプローチ
- 屈曲・伸展・回旋など、動作別に異なる疼痛発生パターン
- 椎間関節や筋膜の障害を見極め、介入まで
- 股関節・体幹・骨盤の連動を整える運動療法
✅ 4. “動き”で診て、“動き”で治す臨床へ
- 「静的姿勢」ではなく“動作中の腰椎挙動”を読み取る視点
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