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理学療法士園部俊晴のブログ

膝蓋下脂肪体が膝関節の伸展制限にも屈曲制限にも成り得る理由

近年、「膝蓋下脂肪体が膝の痛みの原因になりやすい」ということが広く知られるようになってきました。

私も膝の痛みを有する患者を多く診ていて、そのように感じます。

 

合わせて知っておかなければならないのが、膝蓋下脂肪体は膝関節の可動域制限の原因にも成り得るということです。

もっというと、伸展制限にも、屈曲制限にも成り得ます。

今回は膝蓋下脂肪体が膝関節の伸展制限にも、屈曲制限にも成り得る理由について、機能解剖の観点から解説したいと思います。

 

 

膝蓋下脂肪体の位置は、下図aのように膝蓋骨下側を中心に、広く覆っています。

そして、屈曲位になると、下図bのように膝関節の中に入り込んでいきます。

 

これは肉眼で見ても、確認することができます。

膝蓋骨の周りに膝蓋下脂肪体が広く覆っているため、お皿が見かけ上、大きく見えます。

しかし、膝を屈曲すると、お皿がくっきり現れるのは、脂肪体がすべて、膝関節の中に入り込んでいくためです。

 

このように、伸展位では、膝蓋下を中心に、膝蓋下脂肪体が膝関節の前面を広く覆っているため、

膝蓋下脂肪体の線維化が生じると、伸展制限の要因になるわけです。

私の臨床、経験上、膝関節伸展制限の最も多い要因として、膝蓋下脂肪体が挙げられます。

 

では、なぜ膝蓋下脂肪体が屈曲制限の要因にもなるのでしょうか。

膝蓋骨は屈曲していくと、下図のように大腿骨関節面を下方に滑っていきます。

そして、深屈曲位になると、膝関節内にまで移動してきます。

 

このため、深屈曲位では、膝蓋骨が膝蓋下脂肪体を圧迫するようになります。

正常な脂肪体では、下図のaのように、この圧迫をうまく分散するのですが、

硬くなった脂肪体では、下図bのように、この分散ができず、これにより屈曲制限が生じるようになるのです。

 

このため、 膝関節の屈曲制限があり、膝の前面かつ、やや下方につっぱり感などを訴える場合、

私はまずは膝蓋下脂肪体が屈曲制限のファーストブロックと考えて、介入していきます。

 

どうでしたでしょうか。

このように機能解剖がわかると、目の前に起こっている現象の理解が容易になります。

私たちの臨床の基本ベースは、あくまでも機能解剖と運動学です。

 

学べば学ぶほど、私たちの臨床は視野が広がっていきます。

そして学べば学ぶほど、 私たちの技術も卓越するようになってくるわけです。

どんな分野でも、それはきっと同じです。

おごった臨床家はそこで終わりです。

偉くなった臨床家はそこで終わりです。

私たちは学び続ければずっと成長できるのですから。

推薦セミナー

【小林弘幸先生】頚肩腕症候群を科学する〜局所も診て、つながりも診る評価と治療戦略〜(LIVEセミナー/ZOOM)

講 師:小林弘幸先生

開催日:2026年1月10日(土) 18:00~20:00

 

概要

頚肩腕症候群は、神経根症・胸郭出口症候群・末梢神経障害などを含む広い概念であり、頚部から肩・上腕・前腕・手指にかけての痛みやしびれを呈する患者に多くみられます。整形外科・リハビリテーション領域では頻度が高く、肩関節疾患として対応していたにもかかわらず、関節可動域は改善しているのに症状だけが残存するケースも少なくありません。

その背景には、局所的な病態だけでなく、以下のような複合的要因が関与します。
・姿勢や運動パターンの影響
・神経走行に沿った滑走障害
・斜角筋・小胸筋・鎖骨下筋・肩甲背部などの軟部組織による緊張や圧迫
・体幹・胸郭・肩甲帯と上肢の運動連鎖の破綻

さらに、頚椎疾患においては、高位診断やリスク管理の観点からも超音波(エコー)の活用が重要です。エコーにより神経・筋・血管などの軟部組織をリアルタイムで観察でき、原因組織の特定や治療ターゲットの精度を高めることが可能となります。徒手療法の介入ポイントの確認、滑走不全や圧迫部位の可視化、治療効果の即時把握にも有用です。また、エコー所見は運動療法の達成度や方向性を判断する指標にもなり、評価→治療→再評価を一連の流れとして繋ぐツールとなります。

本セミナーでは、以下の観点から実践的に整理します:
● 頚肩腕症候群の病態理解と分類
● 臨床における評価方法
● 関連する神経・筋・軟部組織の解剖
● エコー解剖と局所評価・治療への応用
● 手技介入から運動療法への展開
● 評価結果に基づく治療戦略

頚肩腕症候群のように症状の実態が掴みにくい病態に対しては、評価を定型化し、治療へスムーズにつなげる臨床思考が不可欠です。本セミナーでは、全身的介入と局所的介入の双方を重視し、身体評価を軸に「どのように治療へ展開するか」を明確にします。評価と治療戦略のアップデートに直結する実践的な内容を提供します。

 

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【坂田淳先生】実践×エビデンスに基づいた下肢のスポーツ外傷・障害の評価と運動療法〜トヨタアスリートサポートセンターでの取り組み〜(LIVEセミナー/ZOOM)

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下肢のスポーツ外傷・障害の発生には必ず原因があります。

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具体的には

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「いわゆる坐骨神経痛」といえば、梨状筋よりも末梢の病態—そう考える人が多いのではないで

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【赤羽根良和先生】治療を変える“視点”が見つかる!臨床に多い腰痛の見方と運動療法(LIVEセミナー/ZOOM)

講 師:赤羽根良和先生

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概要

臨床に多い腰痛

― 現場で出会う“ありふれた腰痛”を、構造と機能から本質的に読み解く ―

「よくある腰痛」だからこそ、難しい。

臨床で最も多く出会う症状 ― 腰痛。
それは“誰でも扱うテーマ”でありながら、
なぜ痛みが取れないのか、再発するのか、改善が続かないのか
多くのセラピストが悩み続ける分野でもあります。

赤羽根先生は、そんな「臨床に多い腰痛」を
筋・関節・神経・呼吸・姿勢制御の全ての視点から再構築。
「結局、何をどう診て、どこを治すのか?」を
実践的・構造的に整理してくれる180分です。

💡 このセミナーで学べること

✅ 1. “臨床に多い腰痛”をタイプ別に整理する

  • 椎間関節性/椎間板性/筋・筋膜性など、よく出会う腰痛の臨床像を比較
  • 疼痛の発生源をどう推定するか、臨床で使える判断基準を提示
  • 「画像ではわからない腰痛」の特徴を理解する

✅ 2. 多裂筋・胸腰筋膜・横隔膜の働きを読み解く

  • 多裂筋が“働いていない”腰痛の見抜き方
  • 胸腰筋膜・体幹深層筋・横隔膜の連携が崩れるメカニズム
  • 呼吸・安定性・姿勢制御を組み合わせた運動療法戦略

✅ 3. 動作と安定性から考える腰痛のアプローチ

  • 屈曲・伸展・回旋など、動作別に異なる疼痛発生パターン
  • 椎間関節や筋膜の障害を見極め、介入まで
  • 股関節・体幹・骨盤の連動を整える運動療法

✅ 4. “動き”で診て、“動き”で治す臨床へ

  • 「静的姿勢」ではなく“動作中の腰椎挙動”を読み取る視点
  • 運動制御の破綻を整える動作修正のエクササイズ
  • 明日から使える、赤羽根先生の“評価→治療”思考プロセスを公開

🎯 こんな方におすすめ

  • 「腰痛は診ているけど、評価が曖昧になりがち」な方
  • どの組織が痛みの原因なのか、自信を持って説明できない方
  • 多裂筋・体幹・呼吸を活かした機能的治療を学びたい方
  • 日常的に腰痛患者を担当している全てのセラピストへ

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その他の園部企画の講演・セミナー

 

※新型コロナウイルスの影響により、現在会場セミナーは中止しております。
Zoomセミナーは詳細が決まり次第、掲載していきます。

 

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