インソールパッドの原則

力学的負荷をコントロールする上で「支持面の改善」はあまりに重要です。
なぜならば、極端な話をすれば、スポーツを砂浜の上で行うことを考えてみてください。
陸上競技なら、それこそボルドでも、高校生にも勝てないかと思います。
また、大谷翔平だって、あんなに速く走れないのはもちろん、強く打つことも早い球を投げることも難しくなると思います。
ましてはコントロールという視点では絶対に安定した球を投げることもできないと思います。
それだけ、支持面は重要なのです。
そういった意味では、力学を考えるうえで、膝、股関節など局所に目が行きますが、私は支持面と体幹が最も重要であると考えているんです。
私は臨床において、この支持面の改善を主にインソールパッドによって実現していますので、今回はインソールの原則的なことを 皆さんにお伝えしたいと思います。
今回話す原則を知っているだけでもインソールをやってみようかなと思うきっかけになると思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
① 足部の捉え方の原則
私はこれまで、数万足という単位でインソールを作成してきました。
その臨床経験から言えることは、足部を「扁平(沈み)」「回内」「回外」に分類して捉えることが、臨床に即していると感じています(図1)。

この3つを明確に区別して評価している医療者は、実際のところ多くはありません。
例えば、「扁平足ですね」と説明される患者の中には、実際には扁平ではなく回内足であるケースが非常に多く見られます。
つまり、「扁平」と「回内・回外」を同一視している医療者が少なくないのです。
しかし、インソールパッドを処方する際には、これらのタイプごとに対応方法がまったく異なります。
したがって、足部をこのように区分して捉えることこそが、インソールを用いた臨床の最も重要な原則であると私は考えています。
一般的には、「扁平と回内」「凹足と回外」は連動するような動きとして理解されていますが、実際の臨床ではそれほど単純ではありません。
図2に示すように、足部には多様なバリエーションが存在します。思い込みを捨て、素直な目で足部の形態を観察することが臨床の第一歩となります。

長年のインソール処方の経験から感じることは、支持面が不安定であると、身体全体に代償的な動きが生じるケースが非常に多いということです。
つまり、足底が安定しない状態では、身体はバランスを保つために過剰な筋活動や姿勢変化を強いられ、結果的に不必要な力学的負荷が生じてしまいます。
一方で、支持面を安定させることで、身体が自然に直立化し、過剰な代償運動が減少することを数多く経験してきました。
これは、支持面の安定化が力学的負荷を最小限に抑えるための重要な基盤となることを示しています。
さらに、支持面が安定することで姿勢制御に関わる筋の活動が適正化し、筋緊張が過剰になりにくい環境を整えることができるわけです。
② インソールパッドの原則
次に、インソールパッドを処方する際の基本原則について説明します。
インソールで最も重要な操作部位は、「内側縦アーチ」「外側縦アーチ」「横アーチ」の3つです(図3)。
これらの部位をどのように操作するかを理解しておくことは、適切なインソールパッドを作成・処方する上で非常に重要な知識になります。
・内側縦アーチ

回内足の症例は必ず必要とする部位です。
ただし、回外足の症例が不要かといえば、そうとは限りません。
回外足の場合、不要な場合もありますが、内側縦アーチが上げることでむしろ内側に乗りやすいケースは少なくありません。
また扁平を呈する症例も回外足と同様で、不要な場合もあれば、必要な場合もあります。
個々の症例で荷重軸や足底接地の状態を観察し、必要性を判断することが大切です。
・横アーチ
扁平足の症例は必ず必要とする部位です。
凹足の症例では、横アーチを高く設定しすぎると逆効果となることがあり、ごくわずかな高さにとどめることが原則です。
これは、インソールによって副作用(いわゆるマイナス点)を生じさせないためにも重要な考え方です。
・外側縦アーチ
足の形状を問わず、多くの症例で必要とします。ただし、高く処方することはそれほど多くはありません。
また、足部の幅が細く、内側への倒れ込みが強い回内足の場合には、外側アーチの挿入が不要なケースもあります。
どうでしたかこうした原則を知っているだけで、少しやってみたいと言う気持ちになりませんか。
まずはそういうところから始めることが大事だと私は考えているんです。
そして変化を感じたら、またさらに深掘りしていくこの連続が臨床ではないでしょうか?
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