なんで膝が捻れるの?膝が過外旋を生じる理由を解説!

私はこれまで、膝関節で痛みを発しやすい組織の多くが過外旋と関連が大きいことを述べてきました。
これは、膝関節の過外旋によって伸張や圧縮などの負荷が加わる組織があり、その組織に痛みを生じさせるためです(右図)。
このことから、膝関節が過外旋を生じるメカニズムを理解しておくことは、痛みの原因組織への負荷を減らす上で重要であると言えます。
まず下図を見てください。
この図は膝関節が過外旋を生じる条件を大腿と下腿の相対関係で表しています。
下図aのように下腿に対して大腿が内旋しても、下図bのように大腿に対して下腿が外旋しても、下図cのように大腿内旋と下腿外旋が同時に生じても、膝関節は外旋します。
一方で、図dや図eのように、大腿と下腿の双方が同じ方向に回旋した場合には、膝関節に回旋は生じません。
このことから、大腿と下腿のどちらが主体となって膝関節の過外旋が生じているのかを考える必要があります。
主体となっている要因が明確になれば、その要因へのアプローチも自ずと決まってくるからです。
上記の膝関節が過外旋を生じさせる条件のうち、今回のブログでは大腿内旋を主体として生じる膝の過外旋について少し深掘りして解説したいと思います。
大腿内旋を主体に生じる膝関節の過外旋
大腿内旋が主体となって膝関節の過外旋が生じている症例では、立位アライメントを診ると、スクインティングパテラを呈していることが大半です(右図)。
このタイプは若い女性に多いのが特徴と言えます。
このような症例の歩行では、立脚前半相に過度な大腿内旋が生じます。
しかし、立脚後半相の大腿は内旋することも外旋することもあるため、立脚後半相との関連はそれほどないと私は考えています。
つまり、このタイプの症例は、立位においても立脚前半相においても大腿が過度に内旋位にあり、下腿より大腿が相対的に内旋することで膝関節の過外旋を生じています。
さらに、このようなスクインティングパテラを呈する症例でも、後足部が回外している場合と回内している場合があるため、臨床においては、大腿と下腿の相対関係だけではなく後足部との関連も確認する必要があります。
一般的なバイオメカニクスの文献などをみると、大腿が内旋すると下腿も内旋し、後足部は回内するといった運動連鎖が紹介されています。
しかし、実際の臨床では、このような症例ばかりではありません。
私の臨床経験からいうと、大腿を主体として生じる膝関節の過外旋の場合は、
立脚前半相に内旋モーメントが生じるため後足部が回外している症例の方が外旋負荷は大きいと考えています(右図)。
後足部が回外していると立脚前半相の下腿内旋は抑制されるため、大腿が内旋することにより過度な外旋負荷が生じると考えています。
このような大腿内旋が主体となって膝関節の過外旋が生じている症例には、
股関節外旋可動域を拡大に合わせて、立位で股関節外旋を促す運動学習を行っています(下図)。
最終的には片脚でも行えるようにすることで、立位においても立脚前半相においても大腿の過度な内旋の抑制に有効です。
いかがでしたか?
このように、臨床の実態を捉えて、ロジックに一つ一つ紐解いていくことでやるべきことが見えてきます。
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【小泉圭介先生】小泉先生が考えるコンディショニングトレーニング 下肢・体幹編
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概要
概要
体幹の安定性という定義はスポーツ競技によって異なります。それぞれの動作によって求められる機能が異なるため、何が必要とされているかを見極める能力が求められます。いわゆる体幹の剛体としての固定力が必要なのか、それとも骨盤帯の回旋安定性が必要なのか、はたまた下肢と体幹の連動が必要なのかという点を整理して考えることが重要です。そして、どうやってNeutral zoneでの脊椎アライメントコントロールを学習し定着させるかがポイントになります。
今回の講習では、私が日頃行っているコンディショニングトレーニング小泉メソッドから、骨盤コントロールの評価とエクササイズのデモンストレーションをご紹介できればと思っています。
セミナー内容
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【吉尾雅春先生】股関節前面痛のインピンジメントを解剖学・神経学的視点から考察する~原因の特定とクリニカルリーズニングの重要性
◆講 師:吉尾雅春先生
◆開催日:2025年10月19日 (日) 9:00 – 12:00
概要
発症後数か月経過した脳卒中者のうち2割程度が股関節前面に痛みを持つ。しかし、その痛みがなぜ起きるのかという議論はあまりなされていない。必然的に当該部位へのアプローチは曖昧で、仕上げはなぜか「他動的なROM ex.」である。受傷後1年以内の脊髄損傷者では股関節前面に異所性骨化が散見され、手術適応になる。両者に共通していることは中枢神経障害に伴う運動麻痺である。改めて股関節の解剖学的特徴と股関節屈曲運動の構成を理解することが必要である。すると、運動麻痺者に限らず、脊柱をはじめとする体幹に問題を持つ人や健常者においてさえも股関節前面にインピンジメントを惹起する可能性が高いことに気づくことができる。
股関節の構造によるもの、疾病特有の運動障害に伴うもの、活動性の変化に影響を受ける時期的なもの、生活歴に関連するものなど、視野を広げて検討しなければならないが、本セミナーでは以下のことについて触れながら考えてみたい。
・脳卒中者や脊髄損傷者にみられる股関節前面の病態
・股関節および周辺の基本的な構造
・股関節屈曲運動の構成と問題
・股関節前面のインピンジメントの可視化
・運動障害に伴う股関節前面のインピンジメント
・生活歴と股関節前面のインピンジメント
・その他
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【松本正知先生】松本先生はこう考える!! 四辺形間隙(QLS)症候群、肩甲上神経絞扼障害、胸郭出口症候群に対する評価と運動療法
◆講 師:松本正知先生
◆開催日:2025年10月25日 (土) 17:30 – 20:30
概要
到達目標
① 四辺形間隙(QLS)、肩甲上神経周辺の肩甲骨、胸郭出口の解剖学的な特徴を理解する
② QLS症候群、肩甲上神経絞扼障害・症候群(SNES)、胸郭出口症候群(TOS)の概要を理解する
③ 上記3疾患に対する評価を理解する
④ 上記3疾患に対する運動療法の考え方を理解する
⑤ ①~④の理解を通し、セラピストが患者さんへ提供できる運動療法を再考する
QLS症候群、SNES、TOSは腕神経叢のそれぞれに関わる神経の絞扼性神経障害であり、共通の症状として肩の外側から後方の痛みや放散痛、筋力低下に伴う挙上動作の困難、感覚障害などが上げられます。これらの疾患に対する基本的な運動療法の考え方は、同じと思います。末梢神経へのアプローチだけでなく、その周辺のfascia、肩甲上腕関節や肩甲骨の機能の回復、全身的な(特に股関節より近位)柔軟性や筋力を改善する必要があります。ただそれだけでは、不足していると考えます。
本講義では、①~④を到達目標とし、⑤でその不足していると思われる運動療法を考えたいと思います。
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※新型コロナウイルスの影響により、現在会場セミナーは中止しております。
Zoomセミナーは詳細が決まり次第、掲載していきます。
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