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理学療法士園部俊晴のブログ

伏在神経の痛みと評価の実際

いよいよ昨日から『入谷誠の理学療法』が本格的に発売しました!

入谷先生が天国に召されてから、完成まで4年かかりました。

この書籍ができるまでには、様々な困難がありました。

しかし、今、書籍を開いてみて、ほっとしています。

この本が100年残るものにしたいと思っています。

 

さて、今回は伏在神経の痛みと評価の実際についてです。

 

若い頃の私は、伏在神経の用語すら知りませんでした。また、知る必要も感じていませんでした。

 

しかし、こうした考えは若い頃の私だけではなく、多くの医療者も同じように感じているのではないでしょうか。

 

実際、伏在神経に関わる病態を意識して診療にあたっている医療者は、それほど多くないと思われます。

 

私はこれまで数多くの医師と関わってきましたが、伏在神経に関わる診断名を付けた医師は数名しか出会っていません。このことからも、認知度の低い病態といえるのではないでしょうか。
(ただし、エコーを運動器診断に取り入れている医師にとっては当たり前の病態になっているようです)

 

たしかに伏在神経に関わる病態はそれほど多くはありません。

 

しかし、適確に評価できるようになると、そこそこ臨床で遭遇する病態だと気付くはずです。

 

どこの医療施設に行っても分からない病態だからこそ、あなたがこの伏在神経に関わる病態を見つけ、症状を緩和することができれば、多くの喜びが得られるのではないでしょうか。

 

そのためにもまずは、伏在神経の痛みと評価の実際について「伏在神経の痛みに対する第3水準の評価」という映像を用意したので、ご覧ください。

 

https://youtu.be/0ESB3AucVoE

伏在神経は大腿神経からの感覚枝で、内側広筋の起始部あたりから下腿内側の軟部組織の知覚と皮膚を支配しています。また運動神経を有していないため、運動麻痺を生じることはありません。

 

映像でまず確認しているのは、内転筋管(内転筋結節から約7cm上方)の圧痛です。

伏在神経は、内側広筋と大内転筋の間にある内転筋菅という場所から表層に出てきます。

 

この患者さんは右の内転筋菅に圧痛を認め、左には認められませんでした。

なぜここの圧痛を調べたかというと、「右下腿内側に広い範囲で重だるい感じがする」と訴えていたからです。(症状の範囲をはっきり示せない患者さんもいます

 

このように伏在神経の痛みや違和感の特徴として、「ビリビリした嫌な感じ」とか「常に重だるい感じ」といったことがあげられます。

 

また多くの膝関節疾患では「階段の下り」で痛みや違和感を訴えるのに対し、伏在神経は「階段の上り」で痛みや違和感を訴えことも大きな特徴の1つです。

 

もしあなたが臨床でこのような患者さんが来たら、映像のように評価を行ってみてください。たくさんの気づきが得られると思いますよ(^-^)

 

https://youtu.be/0ESB3AucVoE

伏在神経の障害は、外傷なく発症する1次性障害と、手術や外傷をきっかけとして発症する2次性障害とに大別することができます。

このため問診では「いつから」「どんなことをきっかけに発症したのか」を聞き取ることが必要です。

 

1次性の伏在神経障害の多くは、伏在神経の上を覆っている縫工筋の短縮や筋緊張と関連して発生すると私は考えています。映像でも縫工筋に対してアプローチを行うと、症状の改善が認められました。

 

私の臨床経験からですが、1次性の伏在神経障害はスポーツ動作と関連することが多く、特に走行との関わりによって生じることが多いと考えています。

 

また中高年では、長距離の歩行や階段の上りで痛みや違和感が生じやすいようです。

 

こうした1次性の痛みの特徴は、痛みの出る動作を行わないと症状は改善しますが、痛みの出る動作を再開すると症状が出現することです。つまり、運動を継続すると徐々に痛みが増してきます

 

2次性の伏在神経障害の多くは、手術や外傷によって周辺組織が硬くなったり、滑走障害が生じたりすることで発生すると私は考えています。このため、傷部の状態を確認する必要があります。

 

また周辺組織の中でも、皮膚や筋膜などの表層組織に滑走障害が生じやすいことを知っておくとよいでしょう。

 

そして2次性の痛みの特徴は、動き始めに痛みが強いことです。

 

いかがでしたか。

あなたがこの伏在神経に関わる病態を見つけ、症状を緩和する姿が想像できたのではないでしょうか。そうなっていただければ、私も本当に嬉しく思います(^-^)

 

でも伏在神経障害は、それほど多い病態ではないため、まだはっきりと分らないこともあるんです。

 

だから私も臨床経験をもっともっと積み重ねて、新しい発見が得られたらまた皆さんにご紹介したいと思います。

 

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。

推薦セミナー

【小林弘幸先生】頚肩腕症候群を科学する〜局所も診て、つながりも診る評価と治療戦略〜(LIVEセミナー/ZOOM)

講 師:小林弘幸先生

開催日:2026年1月10日(土) 18:00~20:00

 

概要

頚肩腕症候群は、神経根症・胸郭出口症候群・末梢神経障害などを含む広い概念であり、頚部から肩・上腕・前腕・手指にかけての痛みやしびれを呈する患者に多くみられます。整形外科・リハビリテーション領域では頻度が高く、肩関節疾患として対応していたにもかかわらず、関節可動域は改善しているのに症状だけが残存するケースも少なくありません。

その背景には、局所的な病態だけでなく、以下のような複合的要因が関与します。
・姿勢や運動パターンの影響
・神経走行に沿った滑走障害
・斜角筋・小胸筋・鎖骨下筋・肩甲背部などの軟部組織による緊張や圧迫
・体幹・胸郭・肩甲帯と上肢の運動連鎖の破綻

さらに、頚椎疾患においては、高位診断やリスク管理の観点からも超音波(エコー)の活用が重要です。エコーにより神経・筋・血管などの軟部組織をリアルタイムで観察でき、原因組織の特定や治療ターゲットの精度を高めることが可能となります。徒手療法の介入ポイントの確認、滑走不全や圧迫部位の可視化、治療効果の即時把握にも有用です。また、エコー所見は運動療法の達成度や方向性を判断する指標にもなり、評価→治療→再評価を一連の流れとして繋ぐツールとなります。

本セミナーでは、以下の観点から実践的に整理します:
● 頚肩腕症候群の病態理解と分類
● 臨床における評価方法
● 関連する神経・筋・軟部組織の解剖
● エコー解剖と局所評価・治療への応用
● 手技介入から運動療法への展開
● 評価結果に基づく治療戦略

頚肩腕症候群のように症状の実態が掴みにくい病態に対しては、評価を定型化し、治療へスムーズにつなげる臨床思考が不可欠です。本セミナーでは、全身的介入と局所的介入の双方を重視し、身体評価を軸に「どのように治療へ展開するか」を明確にします。評価と治療戦略のアップデートに直結する実践的な内容を提供します。

 

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【坂田淳先生】実践×エビデンスに基づいた下肢のスポーツ外傷・障害の評価と運動療法〜トヨタアスリートサポートセンターでの取り組み〜(LIVEセミナー/ZOOM)

講 師:坂田淳先生

開催日:2026年1月18日(日) 9:00~12:00

 

概要

下肢のスポーツ外傷・障害の発生には必ず原因があります。

股関節・膝関節・足関節各々の詳細な関節運動を把握した上で、隣接関節機能を改善させることで、トータルとしての荷重動作が安定し、統合的に評価・治療することができます。本セミナーでは、トヨタアスリートサポートセンターで実践されている知識と技術を学べる機会を提供します。

具体的には

①下肢スポーツ外傷・障害の要因を、解剖・バイオメカニクスに基づいた根拠をもとに、解説します。

② 実践的エビデンスを基に、トヨタアスリートサポートセンターで体系化されている評価手順を伝達します。

③ これまでの研究・臨床経験から導き出された治療体系を紹介します。

 

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【岡本光司先生】腰殿部痛に潜む坐骨神経障害の病態と治療アプローチ〜神経根障害と末梢性の見極めから実践的介入まで〜」(LIVEセミナー/ZOOM)

講 師:岡本光司先生

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概要

「いわゆる坐骨神経痛」といえば、梨状筋よりも末梢の病態—そう考える人が多いのではないで

しょうか。しかし、梨状筋より末梢の組織に対して理学療法を行ってみても、一時的に改善を認

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「何か大切なことを見逃しているのではないか?」この原因を探るため、筋力評価を軸とした

理学的所見をとってみると、L5、S1神経根障害を示唆する所見をしばしば認めました。

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【赤羽根良和先生】治療を変える“視点”が見つかる!臨床に多い腰痛の見方と運動療法(LIVEセミナー/ZOOM)

講 師:赤羽根良和先生

開催日:2026年1月31日(土) 17:30~20:30

 

概要

臨床に多い腰痛

― 現場で出会う“ありふれた腰痛”を、構造と機能から本質的に読み解く ―

「よくある腰痛」だからこそ、難しい。

臨床で最も多く出会う症状 ― 腰痛。
それは“誰でも扱うテーマ”でありながら、
なぜ痛みが取れないのか、再発するのか、改善が続かないのか
多くのセラピストが悩み続ける分野でもあります。

赤羽根先生は、そんな「臨床に多い腰痛」を
筋・関節・神経・呼吸・姿勢制御の全ての視点から再構築。
「結局、何をどう診て、どこを治すのか?」を
実践的・構造的に整理してくれる180分です。

💡 このセミナーで学べること

✅ 1. “臨床に多い腰痛”をタイプ別に整理する

  • 椎間関節性/椎間板性/筋・筋膜性など、よく出会う腰痛の臨床像を比較
  • 疼痛の発生源をどう推定するか、臨床で使える判断基準を提示
  • 「画像ではわからない腰痛」の特徴を理解する

✅ 2. 多裂筋・胸腰筋膜・横隔膜の働きを読み解く

  • 多裂筋が“働いていない”腰痛の見抜き方
  • 胸腰筋膜・体幹深層筋・横隔膜の連携が崩れるメカニズム
  • 呼吸・安定性・姿勢制御を組み合わせた運動療法戦略

✅ 3. 動作と安定性から考える腰痛のアプローチ

  • 屈曲・伸展・回旋など、動作別に異なる疼痛発生パターン
  • 椎間関節や筋膜の障害を見極め、介入まで
  • 股関節・体幹・骨盤の連動を整える運動療法

✅ 4. “動き”で診て、“動き”で治す臨床へ

  • 「静的姿勢」ではなく“動作中の腰椎挙動”を読み取る視点
  • 運動制御の破綻を整える動作修正のエクササイズ
  • 明日から使える、赤羽根先生の“評価→治療”思考プロセスを公開

🎯 こんな方におすすめ

  • 「腰痛は診ているけど、評価が曖昧になりがち」な方
  • どの組織が痛みの原因なのか、自信を持って説明できない方
  • 多裂筋・体幹・呼吸を活かした機能的治療を学びたい方
  • 日常的に腰痛患者を担当している全てのセラピストへ

応募はこちらから

↓ ↓ ↓

https://pro.ugoitalab.com/products/20260131z/

 

 

その他の園部企画の講演・セミナー

 

※新型コロナウイルスの影響により、現在会場セミナーは中止しております。
Zoomセミナーは詳細が決まり次第、掲載していきます。

 

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