腰痛:成田先生への質疑応答part 1
さて・・・、
今回は、成田先生との腰痛セミナーの質疑応答の様子を紹介します。
成田先生の提案で、講演の最後に30分ほど質疑応答の時間を設け、ディスカッションしました。
受講生からの質問・・・、
私から成田先生への質問・・・、
成田先生から私への質問・・・、等も含め、
下記に質疑応答の内容を紹介させていただきます。
編集してみて気付いたのですが、あまりにも長いので、この質疑応答の様子を2回に分けて紹介します。
「質疑応答part①」では、まずは成田先生への質問をまとめました。
受講生からの質問 ①
椎間関節の痛みの原因が滑膜や関節包にあることはわかったのですが、骨と軟骨との兼ね合いが分からないのですが、それを教えて頂けますでしょうか。
成田先生
多くの患者で関節に変性や変形が生じています。
腰部では、椎間板や椎間関節にも変性が起こります。このことにより、正常の関節運動ではなく(滑り)、異常な関節挙動(転がり)になってしまい、痛みを感知する滑膜や関節包に負荷が掛かるということだと考えています。
これについては、他の変形疾患と同じような疼痛メカニズムがあると考えられます。
受講生からの質問 ②
椎間関節の伸展時の疼痛は理解できますが、屈曲時の疼痛のメカニズムが理解できなかったので、もう一度教えていただけますか。
成田先生
椎間関節は、正常では、平面関節なので、滑り運動が主体に起こります。(屈曲の場合、上関節突起が下関節突起に対して上方に動く。)
しかし疼痛が生じる患者の場合、関節運動の軌道がズレて滑り運動ではなく、回転運動になってしまっています。
正常から逸脱したこうした動きによって(挙動の変化)、関節包が伸ばされる部分と圧迫されるところが生じます。
こうしたことが痛みの要因になっていると思われます。
受講生からの質問 ③
サブグループ化を4つに分けていますが、おそらく複合している患者も多いと思います。
複合している場合、実際に治療するときは自分がやりやすいところから行えば良いですか。
成田先生
いや私は違います。
1番痛みを出しているところからアプローチした方が良いと思います。
複合していることは多々あると思いますが、その患者さんが1番痛みを出している箇所があると思います。
そこからアプローチした方が良いと思います。
園部から成田先生への質問 ①
園部
今の質問で、みんなが知りたいと思うので、1つ質問させてください。
椎間関節の伸展時の痛みが何の組織によって痛いかは別として、圧縮応力が生じるときに痛いのは事実ですよね。
成田先生
はい。
園部
つまり右の椎間関節であれば、伸展して右に側屈した方が痛みは強くなりますよね。
成田先生
そういうことになりますね。
園部
そう考えると、痛みを拾っている組織として、それが滑膜か関節包であるかは別として、とにかく圧縮されるときに痛みを生じるということが事実で良いですね。
成田先生
ここを整理すると、確かに受ける力は圧縮応力なんですが、圧縮されるだけでは痛みを出す組織がありません。
だから私が考えているのは、本来は滑り運動で起こらないといけない動きが、異常な回転運動になっている(挙動の変化)ことが問題なんです。それによって伸ばされる組織があるはずです(図①の緑線が関節包を示す)。つまりこの異常な挙動によってテコの原理(上関節突起、下関節突起の衝突が支点)が生じ、異常なかたちで関節包(滑膜)などが引っ張られ痛みを出していると考えています。つまり、結局は挙動の問題だと考えているんです。
園部
なるほど。。。
先生がそう考えているということが、私にとっては重要です。
そして・・、
皆さんにも参考になったと思います。
成田先生
だからその挙動が変化すれば、痛みが取れるんだと考えています。
腰椎全体で伸展していれば、滑り運動だけで運動が生じてくれます。
しかしここに異常な挙動が生じることで先ほど言ったように、圧縮する部分と、それを支点として伸ばされる部分が生じ、これが痛みの原因となっているのではないかと考えています。
受講生からの質問 ④
新体操などハイパーに動くときに、仙腸関節も含め、固定する部位が多いので、手が足りないといったことがあるかと思うのですが、そういった場合の対処方法を教えてください。
成田先生
多分節で痛みがあっても、まずは一つだけ固定して痛みを確認します。
手は1つしかないので、そこで他の関節も同時に診ることはしません。
つまりどの場合もやり方は一緒なんです。
局所の1カ所を固定して、そして痛みが変わるかどうかを診ます。
そして他の部位も同じように診ていきます。
伸展痛の場合であれば、考え方は概ね一緒で、1分節だけが過剰に動いていることが問題なわけです。
たとえば、昨日は分離症の患者が2人来たんですが、どちらの患者も原因は違うんです。
でも・・・、
1分節だけが過剰になっているという意味では同じです。
この2例の場合、1人は股関節伸展可動性が低いから腰椎の1分節が過剰に動いていました。
もう一人は胸椎が動かないから腰椎の1分節が過剰に動いていました。だからハイパーの症例の場合、一見全体の可動性があるように見えても、その人の中で硬いところと柔らかいところがあるんです。
そういった視点で診ることができれば、新体操等のハイパーな人たちでも、同じ考え方で評価と治療することができます。
受講生からの質問 ⑤
デモンストレーションの中で、「大腿直筋は硬くない」と判断したところがあったかと思うのですが、股関節伸展位で膝関節が何度くらい曲がったから硬くないなと判断したんですか。
成田先生
トーマステストの変法の事ですね。
片側の膝を抱えて、もう片方を股関節伸展した肢位で、膝関節が90度曲がらないと怪しいなと判断します。
さらに徒手的に膝を曲げて硬さを感じたら、大腿直筋は硬いなと判断します。
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どうですか・・・。
めちゃめちゃ勉強になったと思いませんか。
私自身もとても勉強になりましたし、
そして・・・、
コラボセミナーの講演の後のこのディスカッションの企画は、
受講者にとっても
講師にとっても
そしてなにより、私にとって
とても勉強になり、よい企画だなと感じました。
次回以降も、この企画をどんどん取り入れたいと思います。
ちなみに、11月11日に行う山田英司先生と私の「変形性膝関節症のコラボセミナー」でも同じように質疑応答を行う予定です。
絶対に参考になりますよ(^_^)
↓ ↓ ↓
https://undouki1111-2.peatix.com/view
今後も臨床家のための運動器研究会のコラボセミナーにぜひご参加ください。(^_^)
次回は、「腰痛に関する質疑応答part②」を紹介します。
追伸
下記は変股の患者です。
左右どちらが患側かわかりますか。
変股の人は概ねこの肢位を取り、この背臥位の姿勢には大きな意味があります。
臨床って、本当に最高に楽しいですね。
推薦セミナー
LIVEセミナー/ZOOM【齊藤正佳先生】1単位で診れる!!鼡径部痛を末梢神経から考える
◆講 師:齊藤正佳先生
◆開催日:2024年9月7日(土) 18:00~21:00
概要
運動器疾患に関わるセラピストに求められることの一つに、痛みを取り除くことが挙げられます。
鼡径部の痛みも同様ですが、鼡径部の痛みは腰痛や股関節周囲の痛みと関連しあい、広範囲に渡ることがあります。これらの痛みを取り除くためには身体所見と画像所見とから病態を探ることが求められるものの、画像からは病態が得られないこともあり、困ることが多いのも事実です。
しかし、(末梢)神経により引き起こされた痛みと考えれば、腰痛や股関節周囲に幅広く出現していると理解できます。そのため、身体所見では、圧痛だけでなく伸長テストや筋出力などから病態を把握することが極めて重要となってきます。
本セミナーでは、末梢神経障害由来の鼡径部痛について、身体所見の取り方や運動療法の進め方を、症例を交えて紹介します。
【セミナー内容】
●前半
・鼡径部、股関節の機能解剖
・鼡径部、股関節を走行する(末梢)神経
●後半
・機能解剖を基にした評価、運動療法
・症例紹介
【到達目標】
・(末梢)神経障害による鼡径部痛を理解する
・圧痛が認められる理由を理解する
・末梢神経障害に伴う身体所見を知る
・運動療法の進め方を知る
【参考資料】
・お手持ちの解剖学書
・坂 雅之:臨床の疑問に答える軟部組織の障害と理学m療法〜解剖と病態の理解に基づく評価と治療. 羊土社, 2023
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https://seminar.ugoitalab.com/event/20240907z/
LIVEセミナー/ZOOM【山本伸一先生】脳卒中患者の上肢・体幹機能へのアプローチ〜臨床に多い上肢の痛みと動きを体幹との関連から考える〜
◆講 師:山本伸一先生
◆開催日:2024年9月21日(土) 18:00~21:00
概要
上肢・手の機能アプローチは個別性であることから、それぞれ悩むことが多いと思います。しかし、一方では共通要素もあり、その原則・指針を理解することで介入のバリエーションにつながることになります。
今回の研修会では、これら含めた脳卒中の障害像の基礎理解とともに上肢・手の機能の問題点と介入について整理します。そのうえで脳卒中における肩の痛みの機序から種類等をご説明いたします。それぞれの臨床に活かせていただければと思います。
初めての方でも全くだいじょうぶです。わかりやすく説明いたします。また、これまでに参加された方でもOKです。宜しくお願いいたします。
翌日には実技セミナーを開催します。合わせて受講すれば理解が深まります。
【山本伸一先生】脳卒中患者の上肢・体幹機能へのアプローチ〜臨床に多い上肢の痛みと動きを体幹との関連から考える〜(実技セミナー)
応募はこちらから
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LIVEセミナー/ZOOM【中村尚人先生】側弯症の保存療法について〜SOSORTのガイドラインと日本の現状〜
◆講 師:中村尚人先生
◆開催日:2024年9月29日(日) 9:00~12:00
概要
応募はこちらから
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https://seminar.ugoitalab.com/event/20240929z/
LIVEセミナー/ZOOM【祝広孝先生】MCP(触察技術を用いた筋コンディショニング)の理論と効果
◆講 師:祝広孝先生
◆開催日:2024年10月5日(土) 19:00~22:00
概要
【講演内容】
・MCPの理論と効果について
・骨格筋に視点をおいた姿勢変化や関節機能異常の捉え方
【到達目標】
・MCPの理論を理解する
・骨格筋に視点をおいた姿勢変化や関節機能異常の診方を理解する
【参考資料】
骨格筋の形と触察法(大峰閣)http://daihokaku.com/index.html
【MCPとは】
MCPはリハビリテーションの現場だけでなく、スポーツ選手のコンディショニングの現場などで対象者の持つ潜在的な筋の伸長性や収縮パフォーマンスを即時に引き出す事ができるテクニックです。
MCPは様々な手技の不思議を解剖学を軸に考察する中で生まれた理論を土台としています。故に理論上の限界はありますが、逆に理論の範疇であれば、誰でもどの筋に対しても同じ効果が得られ、その再現性は他に類をみません。
MCPでは正確な解剖学的情報と体表解剖学の技術(触察)により、個別の筋に対して選択的にアプローチが可能です。症状と原因筋の関係がより明確となる事により、以降の対象者の症状に対する臨床推論の精度も向上します。
MCPは単独でも使えるテクニックですが、その理論は人の身体を触れるテクニックの基礎となる理論と言え、皆さんの現在用いている各種テクニックに組み込む事で、そのテクニック自体のスキルも向上させてくれるはずです。
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https://seminar.ugoitalab.com/event/20241005z/
LIVEセミナー/ZOOM【中宿伸哉先生】足部障害における理学療法の実際
◆講 師:中宿伸哉先生
◆開催日:2024年10月12日(土) 18:00~19:30
概要
足部障害を考える上で切り離せないのが、アーチの構造です。内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチの3軸で構成されるアーチは、歩行時の推進力に影響するだけでなく、床面からの衝撃を適度に吸収することで、下肢の関節への応力集中を防止します。
アーチの構成は、各足根骨によって形成されます。そのため、各々の骨がどのように動くのかを理解することが必要です。筋や靭帯の緊張によって能動的に動く骨もあれば、隣接の骨から受動的に動く骨もあります。隣接した骨がお互いにバランスよく連動して動くことが求められますが、これらが破綻した時に、どの部分が補うのかで障害の程度が異なります。筋機能によって補うのであれば、筋由来の疼痛が出現する可能性があり、靭帯や関節にストレスが加われば、これらが疼痛の原因になりえます。
足部障害には、足底挿板によるアライメント補正が有効です。一方で、膝関節や股関節のマルアライメントにより、足部への重心移動が変化することによってもアーチ構造に影響します。どちらが効果として有効であるかは、それぞれが相互作用として影響するため、一概に述べることはできません。現に、足底挿板によって膝、股関節のアライメントも補正され、これら周囲の筋力が改善することも珍しくありません。股関節や膝関節の筋力低下が足部障害に影響しているからといって、各々に単発的なトレーニングを安易に行うべきではないと考えます。臨床的には、よいアライメントの中で、いかに筋の発揮能力を高める複合的なトレーニングを行えるかが重要です。理学療法士の役割は、それに影響するであろう足部の疼痛や拘縮改善を適切に行うことです。
本講義では、足部機能の理解と、徒手的治療、足底挿板療法を中心に提示致します。
【セミナー内容】
・足部の機能解剖
・足部アーチの構造と機能
・足部障害の基本的評価
・各足部疾患の病態と治療
応募はこちらから
↓ ↓ ↓
https://seminar.ugoitalab.com/event/20241012z/
LIVEセミナー/ZOOM【岡本光司先生】もう悩まない!坐骨神経由来の複雑な痛みを紐解く〜大腰筋の深層を科学する〜
◆講 師:岡本光司先生
◆開催日:2024年10月26日(土) 18:00~19:30
概要
「いわゆる坐骨神経痛」といえば、梨状筋よりも末梢の病態—そう考える人が多いのではないでしょうか。しかし、梨状筋より末梢の組織に対して理学療法を行ってみても、一時的に改善を認めるも症状が再発する症例を多く経験してきました。
それでは「なぜ、痛みが元に戻るのか?」「何か大切なことを見逃しているのではないか?」この原因を探るため、筋力評価を軸とした理学的所見をとってみると、L5、S1神経根障害を示唆する所見をしばしば認めました。
今回、L5、S1神経根障害の捉え方およびそのアプローチ(大腰筋や多裂筋)をご紹介します。
リハビリ現場での23年間、「いわゆる坐骨神経痛」を診てきた立場で、紆余曲折の末に導き出され辿り着いた、48才シニアPT「オレみたいになるな!失敗から学ぶ【坐骨神経痛の真実】」必見の内容です。
【この講演でマスターして欲しいポイントは・・・】
ズバリ、「理学的所見の本質を理解する」です。理学的所見は病態を教えてくれます。「いわゆる坐骨神経痛」の病態を炙り出すと、やるべき理学療法がおのずと選択されるのです。あなたの理学療法の内容が180°激変します。
応募はこちらから
↓ ↓ ↓
https://seminar.ugoitalab.com/event/20241026z/
その他の園部企画の講演・セミナー
※新型コロナウイルスの影響により、現在会場セミナーは中止しております。
Zoomセミナーは詳細が決まり次第、掲載していきます。
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