変形性膝関節症の疾患特性と臨床推論の重要性

変形性膝関節症の保存療法において、最も臨床推論を難しくしていることは、疼痛などの主観的な症状と、画像で捉えられた関節構成体の損傷や退行性変化とが一致しないことだと思います。
変形性膝関節症は、進行に伴い疼痛を呈する患者の割合は増加すると言えます。
しかし、重度な内反膝を呈していても疼痛を訴えない患者や、反対にほとんど単純X 線
で所見が認められないにもかかわらず、激しい疼痛を訴える患者に遭遇することは、多くのセラピストが経験するのではないでしょうか。
そして、「軟骨がすり減って骨同士が当たって痛い」というイメージをもつ人は
患者のみでなく、医療者にもまだ多いのが現状です。
しかし、関節軟骨には神経分布はなく、痛みを感知しません。
では、よく考えてみると、何が痛いのでしょうか??
この疑問を解決するために、臨床推論がさらに重要になるといえます。
こうした画像上に変化が認められる疾患は、画像をもとに痛みの原因が考えられることが多いのです。
しかし、大切なこととして、画像が変化したから痛いのではなく、痛い組織があるから痛いということを私たちは忘れてはなりません!
最近ではエビデンスが重要視されますが、 変形性膝関節症にこのエビデンスがあるから、この治療するというのではダメです。
なぜでしょうか?
答えは、変形性関節症という疾患名は、痛みの組織を示した疾患名ではないからです。
だからこそ、痛い組織を見つけて、 その組織の治療としてエビデンスがあるかどうかが重要だと理解する必要があります。
変形性膝関節の治療にありきたりの「投薬・注射」、「温熱・電気などの物理療法」、「マッサージ」、「大腿四頭筋トレーニング」を継続するのであれば、大量の国費を使って医療機関で治療する必要性は、それほどないかもしれません。
この疾患は2400万人もいるわけですから、
まず私たち医療者が行うことは、
どう治すかの前に、どこを治すかを見つけてあげることです。
変形性膝関節の権威、山田英司先生はご自身の書籍の中で、変形性膝関節で痛みを発している組織を7つ取り上げています。
次回は、この7つの組織について、解説したいと思います。
Youtubeで「膝OAの臨床推論のポイント」について解説しています。
ご覧ください。
今回も最後までご覧いただきありがとうございました。
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・言語理解や環境音に関わる回路
・筋活動や運動調節あるいは姿勢制御に関わる回路
・左右半球間の情報交換による有機的システムに関する回路
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「皮膚テーピングの臨床応用」
皮膚テーピングはユニークな方法ではありますが、臨床的には大変効果的なものであると考えております。皮膚テーピングを行うにあたり、『最近の知見』を述べさせて頂きます。
また、皮膚の動きを臨床的に利用する手技の中で最も簡単な方法をご紹介する予定です。
皮膚の動きを利用したものと筋収縮を用いる新しい方法についてもご紹介させて頂きます。
同時に足部内在筋賦活用靴下についても紹介します。
何卒よろしくお願い申し上げます。
園部俊晴先生(13:20~15:40)
「痛みに対する皮膚と筋膜の徒手療法」
皮膚と筋膜は、主に3つのことに応用できます。
「動きの改善」「拘縮の改善」「痛みとしびれの改善(皮神経)」
このことが理解できると、臨床は画期的に変わっていきます。
なぜならば運動器疾患を診る際、「動き」「拘縮」「痛み」が我々の治療の中核を担うからです。
「動き」を変えることができれば、1人の患者に対して、我々がどの方向に動きを誘導すれば良いのか、それが分かるようになります。
「拘縮」の改善に皮膚や筋膜が関与していることを知れば、特に術後の症例には皮膚と筋膜のアプローチが必ず必要だということが分かります。
「痛み」への影響を理解できれば、これまでよりも痛みや痺れに対する視野が大きく変わることが分かります。
今回の講演は、皆様の臨床の視野を拡げる一助になると思います。
また皮膚と筋膜の操作方法はもちろんこと、私の行っているテーピングも一部紹介いたします。
ぜひご参加ください。
【受講における到達目標】
◆ 皮膚と筋膜の運動学を知った上で、その基本的な考え方と効果を理解する。
◆ 倒立振り子が見られるようになるための練習としてテーピングを応用できることを理解する。
◆ いろんな種類のテーピングがあることを知る。
◆ 皮膚と筋膜の操作が、評価・治療・運動の補助など、幅広く応用できることを理解する。
コラボアンサー(15:40~16:00)
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その他の園部企画の講演・セミナー
※新型コロナウイルスの影響により、現在会場セミナーは中止しております。
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